面白い小説の書き方

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なろうの書籍化作家が選ぶ、小説家になろうのおすすめ作品15選-文章力が高そうなもの編

  

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小説家になろうの文章って、ショボくね?

ど素人の集団だから」

 

こういうコメントを見ると、よく知りもせずに決めつけないで!

って思ってしまいます。

 

私自身が、小説家になろうで書籍化し、ライトノベル作家としてプロデビューの 機会を得ただけに、特にそう思うのかもしれません。

 

小説家になろうは玉石混交です。
プロ(といってもそれこそピンきりだが)を上回るような作者もいれば、人気はあっても文章力という点ではあまり評価されない作家もいます。

 

これはスマホ向けに、凝った表現よりも一目で理解できる、小中学生でも分かりやすい文章を心がけている作家もいて、これもまた一つの「文章力」なのだけれど、こちらが「文章力が高い」と評価されるケースは比較的少ないのが現状です。

分かりやすい文章の方が読者層を獲得しやすく、ポイントが増え、書籍化しやすいという考えですね。

また、文章力よりもアイデアや構成の技術が高く、それによって人気を得ている方も多くいます。

 

今回は、世間一般に言われるところの文章の上手な作品を、私の個人的主観で選んでみました。

完結済みと、連載中と分けています。


どれも自信をもって薦められる作品です。

 

 

完結済みの作品


『サムヒア・ノーヒア』(ちょろんぞ/小野崎まち)

https://ncode.syosetu.com/n8676bo/

ながらく「小説家になろうで文章力が高い作品は?」と質問すれば、必ず候補の一つとして挙がった作品です。
昨年『サムウェア・ノットヒア ~ここではない何処かへ~』として書籍化されたらしいですね。

素晴らしい作品は、いつの日にか日の目を見るという証でしょうか。
本当におめでとうございます。

一人の天才画家と、天才ではない平凡な画家の男女。
同じ世界に属していて、才能がある人間の隣に、平凡な人間がいることは、苦しい。

一人の創作家として、とても共感できました。

才悩人応援歌をセピア色にして、小説にした感じ。
注意:ハッピーエンドとは言えない。

 

サムウェア・ノットヒア ~ここではない何処かへ~ (マイナビ出版ファン文庫)

サムウェア・ノットヒア ~ここではない何処かへ~ (マイナビ出版ファン文庫)

 

 

 

『生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい』(のの原兎太)

https://ncode.syosetu.com/n4764du/

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最近コミカライズがされたり、1巻が4版目とかで大反響ですね。
アニメ『オーバーロード』の間などにちらっとCMが流れたりしてたそうで、出版社の売ってやるぜ!というやる気がうかがえます。

 

丁度本編が完結されたばかりの出来たてホヤホヤなので、ぜひ読んで欲しいものです。
独特な文体なのだけれど、それがとても良いアクセントになっている作品です。

ちょっとこれは真似できない文章だな、と思うタイプの文体ですが、文章自体がとても面白いのです。

 

生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい 01

生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい 01

 

 

『きつねよめ』(二宮酒匂)


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遅筆だけど、出す作品出す作品がとにかく面白い作家さん!

長編小説は基本的にすべて本になったんじゃないでしょうか。
『きつねよめ』は、とことん胸が切なくなる話です。
和風ファンタジーとしてとても秀逸な世界観と、登場人物がとにかく人間臭く、レベルが高いです。

結末については評価が分かれますが、胸を刺す作品として、挙げずにはいられませんでした。

他の著作

注意:ハッピーエンドとは言えない。

 あと、ジンニスタンまだー?

 

幼馴染の自動販売機にプロポーズした経緯について。 (カドカワBOOKS)

幼馴染の自動販売機にプロポーズした経緯について。 (カドカワBOOKS)

 

 

『小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋』(理不尽な孫の手
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小説家になろうの累計ランキング一位の『無職転生』の作者。
キスをしないと出られない部屋、という話があったけれど似たような題材だけれど、表現はまったく別物。

同じ素材でも、調理方法によって料理の味が変わるというのがよく分かります。
当時、寝ないといけない、明日に差し支える、ああでも続きが……! と思いつつ、貫徹して読んでしましました。

 

『スケルトンの奴隷商』(白黒いり)
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名中編。
長すぎず、シンプルにまとまっています。

ケルトンを使った傭兵業務から、内政まで幅広い活躍のさせかたや、スケルトンの使役方法、人間関係が実に上手だった。

最後の戦いが手に汗を握る展開で、非常に胸熱です。ババアが厄介過ぎる。

『勇者様のお師匠様』(ピチ&メル/三丘 洋)


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魔力が使えないと活躍できない世界観でありながら、魔力適正のほとんどない主人公が剣士として、勇者のお師匠をする。

不利な状態を決してあきらめることなく突き進む姿に応援したくなる。
また勇者(女の子)とのラブロマンスも必読。

文体から、最初私が知っている作家さんの作品かと思ったのだけれど、そんなことはなかった。

 

勇者様のお師匠様 (1)

勇者様のお師匠様 (1)

 

 


『辺境の老騎士』(支援BIS)


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この作品も、長らく名文として候補に挙がる作品。
とっても作中の食事が美味しそう。

最初は旅情記としてはじまるのだけれど、進行とともにどんどん広い世界に話が膨らみ、世界の命運をかけた戦いに発展していく。
どことなく海外ファンタジーのような、あるいは童話物語のような、絵本のような。
ゲームでいえば『Ruina~廃都の物語~』を彷彿とさせる。

イラストレーターの笹井一個氏がお亡くなりになられたそうです。

ご冥福をお祈りします。

 

 

辺境の老騎士 1

辺境の老騎士 1

 

 

巫女と狐はほどけない(ちょきんぎょ。)


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短編として必要な要素が全部揃った作品。

某企画として、文字数制限ぴったりに整えてきたところといい、非常に上手い、と言えました。

 別作転生吸血鬼さんはお昼寝がしたいはまもなく20万部突破のベストセラーとなった。

 

転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい 1 (アース・スターノベル)

転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい 1 (アース・スターノベル)

 

 

連載中の作品

 『カボチャ頭のランタン』(mm)


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どことなくエッチで、とってもスリルあふれるバトルがあり、戦闘&銭湯描写が魅力的。

どうしてこんなにお風呂にこだわるのだろうか? いったい何のこだわりなのか。不思議だけど好き。主人公が女の子みたいな外見でありながら、その中身はしっかりと男の子してるのも良いです。

なかでも第3章かな? 竜退治の章は最初から最後までが連綿と繋がりながら、非常に完成度が高かった。
本の方は長らく続刊が出ていないが、出たら買いたい。ずっと待ってる。

 

『神統記(テオゴニア)』(るうるう/谷舞司)


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生き残り錬金術師が完結したいま、最も更新を楽しみにしている作品。読むと良いよ。
もともとは『陶都物語』を個人サイトで続けていて、人気を博していた作家さん。

3月31日に出版されました。おめでとうございます。

2巻も発売されました。すぐに買いました。 

 

神統記(テオゴニア) (PASH!ブックス)

神統記(テオゴニア) (PASH!ブックス)

 

 

ウロボロス・レコード ~円環のオーブニル~』(山下湊)


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アンチヒーローものなのに、ふしぎとヒーロー文庫から出版された名作。
永遠の命を得るためならば、どのような手段もいとわない、という強烈なスタンスがあるため、非常に癖の強い作品だが、恐ろしいほどに惹きつける文章があり、とくに法廷の場面は必読の価値あり。

 

残念ながら連載が途絶えていますが、それでも読んで欲しいと紹介したくなる力がある。

最果てのパラディン』(柳野かなた
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小説家になろうこのレベルの純ファンタジーが読めるのか!

指輪物語などの、純古典的ファンタジーの匂いが色濃く立ち昇る作品。
以前不思議な縁で将棋を指したが、めちゃくちゃ強かった。

 

爽やかな風が吹き抜ける。

 朝靄に僅かに霞む、夜明けの丘の麓。広大な湖に沿って石造りの都市が広がっていた。
 古代か中世か、といった風だ。高い塔や、美しいアーチの連なる水道橋らしきものも見える。
 ……その全ては古び、廃墟となっていた。
 建物の屋根はところどころ崩れているし、壁の漆喰は無残に剥がれ落ちている。
 街路の石畳の隙間からは草が伸び、緑の蔓や苔があちらこちらで建物に絡みつき、張り付いている。
 かつて人の営みがあったであろう街並みが、まどろむように緑とともに朽ちてゆく。
 そのすべてが、昇る朝日にやさしく照らされていた。

 

作品を読めばわかるけれど、ここの文章がめちゃくちゃ場面を思い浮かばせ、感動させた。

 

 

異世界居酒屋「のぶ」』(蝉川夏哉/逢坂十七年蝉)


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アニメ化、およびコミカライズ作品。最近二年半ぶりに新刊が出版された。
初めて読んだ時はまだ最初の3話ぐらいだったが、これは一味違うな、と唸った記憶があった。

その感想に違わず、アニメ化までしてるのだからすごい。

お腹がすくので、深夜には読まないほうが良いかも。

はじめてラノベ作家として活動して、いろいろとお世話になりました。

 

『ラピスの心臓』(おぽっさむ)


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更新頻度はゆっくりだけど、非常に純度の高いファンタジー
以前から文章力では評価されていたから、今更の紹介は蛇足かもしれない。

 

蜘蛛ですが、なにか?』(馬場翁


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文章力が高い、と言っていいのか迷ったのだけれど、やっぱりめちゃくちゃ面白い。
一人称でこの文章はやっぱり尋常じゃない、と思い紹介。
当時ランキングを席巻していたのは、いい思い出。

 

 

 

 

その他、『死神を食べた少女』も良かった気がする。

こうしてみると書籍化作品が多くて申し訳ないが、まだ読んだことのない人には参考になればと思います。
他にも、文章力が高くて面白い作品は沢山あると思う。
もし良ければ、私に紹介いただけたら幸い。