面白い小説の書き方

面白い小説の書き方について

審査員をして分かった、小説が評価されるポイントとは?

先日、第四回ナロラボ杯の決勝審査員を務めさせていただいた。

これまで書き手としてばかりの立場にいたが、審査員になることで、裏側を知ることができ、書き手としては気付かないような様々なことが分かったので、ご紹介したい。

 

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1.そもそも、審査員は深読みはしてくれない

私たち書き手が審査員に求めることは何だろうか?

作品の良さも欠点も、すべてを見事に把握し、的確に採点してくれることではないだろうか?

何度も読み直し、作品のすべてを知ってもらうことだろうか?

 

盛大な勘違いだ。大いに間違ってる。

審査員だって、時間が無限にあるわけじゃない。

忙しいのだ。その点は普通の読者とまったく同じ条件だ。

 

審査時は作品に集中して読んだが、だからといって読み返して何度も隅から隅まで底さらいするような読み方はしなかった。

分かりにくい描写があったら、読み返すよりもここ読みにくいな、と減点する。

だから、複雑な設定が悪い訳ではないが、複雑な設定を理解されやすく書く努力は不可欠になってくることが分かった。

 

読者が作品を読み返すのは、本当に気に入った作品だけだ。

だから、もし読み返してほしい、作品のすべてを知ってほしいと思うなら、先に読み返したくなる作品を書くしかない。

 

これは下読みでも、どこかの賞に応募するのでも同じことが言えると思う。

 

決勝では8作品を読んだ。

そして、私は後々読み返そうと、2作品はブックマークに保存した。

そうして初めて、何度も読み返され、作品をより深く味わってもらえる。

 

2.作品の感想は非常に似通う

では、そんな読み方で採点は出来るのだろうか? という疑問が残る。

実はできてしまう。

 

構成であったり、描写であったり、あるいはキャラクター性であったり。

評価のポイントは様々だが、審査員同士が気になる点として挙げた部分はおおよそ共通していた。

もちろん総合点における好みの個人差はあるが、似たような物足りなさを覚える。

これは、逆を言えばあるていど読み込んだ読者であれば、そう的の外れた指摘はされないということでもある。

もちろん相手を探すむずかしさ、そしてその相手に真剣に読んでもらい、しかも欠点を指摘してもらうというハードルはあるが、超えてしまえばものすごい力になるだろう。

 

どうしても相手が見つからなければ、相互にやりあうという協力者を募るのも良いかもしれない。

この場合、ありがたい読者の感想はあてにならないことが多い。

彼らは作品のままに感想を述べるのであって、作者目線というか、より良くするために、という目線で読む習慣のない人が多いからだ。 

 

第四回ナロラボ杯はもうすぐ結果が出る。

どの作品が最優秀に選ばれるのか、今から私も楽しみだ。

 

 追記:2017-11-19

プレーオフの結果が発表された。

【短編小説コンテスト】第四回ナロラボ杯 プレーオフ(最終決戦)結果発表 | ナロラボの小説コンテスト