面白い小説の書き方

面白い小説の書き方について

ファンタジーものを書く時に参考にしたい資料を紹介していく 中世の農村と都市について

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ファンタジーものの舞台になるのは、大体が中世ヨーロッパ風の世界観。

そこには魔法などの地球とは違う歴史があり、文化がある。

だから、極論すれば、地球の中世を学ばなくてもファンタジーものは書けるかもしれない……。

 

でも、(地球の中世ってどんな生活をしていたんだろう……?)

他の作品よりもリアリティのある世界観が書きたいと思って、調べたくなる人は多いと思う。

そこで資料を探し始めると、壁に突き当たる。

おおよそ資料の問題点は、次の5つに集約できるのではないだろうか?

  • どれを読んだら良いのか分からない
  • 書いていることが難しすぎる
  • 価格が高い
  • 調べることにキリがない
  • 面白さと繋がらないこともある

私はこれら全てにぶち当たった。

その上で断言するが、資料は読んだほうが良い。

 

資料を読むことでアイデアのネタをいくつも得ることが出来るし、他の人が発想しないことを、思いつく可能性も高まる。

それに、しっかりと知識があった上で書くと、生活水準などに矛盾が生じなくなって、作品の完成度がどんどん上がる。

 

あと、なろう小説のように共通認識で書く場合には良いのですが、オリジナルな世界観を書こうと思うと、知識量でクオリティに如実に差が出てしまいます。

 

別にどれだけ知識があっても、全部使う必要はない。

でも、知らなければ使うことができない。

 

私はいろいろな資料を読んでいるうちに、なんとなく資料の探し方が分かるようになった。

そこで、前半ではこれらの問題への解決策と、後半では実際にどのような資料がお薦めかを、具体的に紹介したいと思います。

 

 

どれを読んだら良いのか分からない問題について

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一つの題材を扱った資料だけでも、膨大な数の本が出版されている。

闇雲に探すと、どれを選んで良いか分からないことになってしまう。

ポイントは一つ。

 

出来るかぎり分かりやすい入門書をまず読むこと。

入門書は幅広い題材を浅く扱ってくれている。

しかも、いちばん重要な点は外していないのがスゴイ!

 

専門的な分野を調べていて、分からないことに突き当たったときも、入門書を再度読み返せば、分かりやすく噛み砕いて説明してくれているケースは多い。

また、巻末に参考文献のリストがあれば、そこから逆引きしていくこともできる。

個人的な意見だが、難しい専門書を頑張って1回読むよりも、入門書を早く3回読んだほうが、身につくように思える。

 

書いていることが難しすぎる問題について

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 この問題も、先ほどの答えと同じ回答にたどり着いた。

入門書をまず読む。

 これが第一の方法。

第二の方法は、分からなくてもとりあえず読んで、あとでもう一度読む、だ。

 これが不思議なぐらい、理解しやすくなっていることが多い。

全体像を把握したり、理解するための基礎知識を他の場所で得ることが出来るからだと思う。

反復は力なり。

読書百遍意自ずから通ず。昔の人は良いこと言った。

一番ダメなのは、難しいからと立ち止まって、全然読み進まなくなってしまうこと。 

騙されたと思って、そのまま一気に読み進めてみて欲しい。 

 

価格が高い問題について

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資料は高い。

一冊数千円する本もザラにある。

とはいえ、その研究でご飯を食べている人が、自分の知識の集大成を一冊の本にまとめてくれているのだから、考え方によってはめちゃくちゃ安いんだけど。

 

それでも資料にお金を払うのが辛い人は、図書館を利用したら良い。

近頃の図書館は、最寄りの図書館まで近隣から本を集荷してくれる場合もある。

片足とはいえ本を出版する側に立つ私が言うべきかは分からないけれど、図書館は国が税金を使って購入しているのだ。

 

ただまあ、図書館で読んで気に入った資料は、手元に置いておくと良いと思う。

あとは、一ヶ月に使う予算を決めておくのだ。

最低金額と上限金額を決めておくと良い。

上限だけ決めると、なかなか資料を買うという習慣がつかない。

月に一冊ずつでも買っていけば、年に12冊になる。

鍛冶についてなら青雲を駆けるとかどうだろうか?(ダイレクトマーケティング

 

調べることにキリがない問題について

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これは目的意識を持って調べることで、回避できる問題だ。

より幅広く知りたい、と思ったときに調べれば良い。

 必ず調べなければならない、という強迫観念を捨てよう。

 

面白さに繋がらないこともある問題について

残念ながらリアリティと面白さが比例するとは限らない。

だが、知らない人間は、その知識を使えない。

知っている人間は、その知識を使うかどうかを選べる。

この差は小さいようで大きい。

 

以上、5つの問題について、それぞれの私なりの解決策を述べてみた。

次に、私がお薦めする資料について紹介していく。

 

 中世の農村について

中世ヨーロッパの農村世界 (世界史リブレット)

中世ヨーロッパの農村世界 (世界史リブレット)

 

中世ヨーロッパを知るなら、この本を第一に推薦したい。

  • 分かりやすい
  • 安い
  • すぐ読み終わるが何度でも読み返せる奥深さがある 

 コストパフォーマンス最強の一冊である。

そして、中世ヨーロッパの人口比率で、もっとも多いのが農民だ。

あなたがファンタジー小説に登場させるかどうかは知らないが、その生活ぶりを想像すると、奥深さが出てくる。 

  

中世ヨーロッパの農村の生活 (講談社学術文庫)

中世ヨーロッパの農村の生活 (講談社学術文庫)

 

 講談社学術文庫から出されるギースの中世ヨーロッパシリーズは非常に人気があって、いつも売れてる印象がある。

分かり易いが、世界史リブレットシリーズに比べると、少し読みづらい。

文量としてはこちらのほうがかなり多い。

この二冊は、農村生活を知るのに欠かせない入門書だと思う。

 

次に都市の生活に移ろうと思う。

 

 中世の都市について

中世ヨーロッパの都市世界 (世界史リブレット)

中世ヨーロッパの都市世界 (世界史リブレット)

 

 先ほどのは堀越先生の。

今度は河原先生の著作だ。

河原温先生の著書も、表現が非常に柔らかく、疲れた頭でも資料が読めるぐらいだ。

こちらも非常に分かりやすいお薦めの一冊だ。

  

中世ヨーロッパの都市の生活 (講談社学術文庫)

中世ヨーロッパの都市の生活 (講談社学術文庫)

 

 ぎっしりと、トロワの都市を例題に、都市の様々な職業や生活について触れている。

 何度も読み返した覚えがある。

 

 

図説 中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本)

図説 中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本)

 

リブレットシリーズと、 ふくろうの本シリーズは個人的にハズレた経験がない。

ふくろうの本の、図説シリーズは名称の通りカラーのイラストが豊富でとてもイメージが膨らみ、お値段以上の価値がある。

 

 

中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描 (ちくま学芸文庫)

中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描 (ちくま学芸文庫)

 

 遍歴の職人たちを題材にした一冊。

むかしは、見習いからギルドの試験に合格して職人になっても、定員があったため親方にはなれなかった。

そこで、都市を遍歴し、何らかの理由で定員割れを起こした都市で独立する、という流れになる。

ほかにも修道士など、旅する人々は様々にいたが、詳しくは書籍を手にとって欲しい。

 

 以上、まずは農村と都市の生活について触れている本を紹介した。

ぜひ手にとって欲しいと思います。